一泊旅行のはずが、とんでもないことに
だいぶ前の話。家族4人で千葉に旅行した時の出来事です。娘たちはまだ小学生でした。
楽しい家族旅行のはじまり
2/11(祝)(日)
連休を使って千葉の温泉に一泊旅行に出掛けた。
海ほたるを通り、まずは東京ドイツ村で遊んだ。夕方になればイルミネーションがキレイなのだが、それを待つことなく、ダンナに急かされるようにしてドイツ村を後に。
旅館に向かう途中、ダンナはノドが痛いと言って薬を買った。
旅館に着いても、薬を飲んでじっとしているだけ。
娘たちと近所の公園で遊んでから帰ると夕飯の時間。大広間で食べるスタイル。
でも後から来ると言ったダンナが、待てど暮らせど来ない。様子を見に行くと「食事はいらない」とのこと。
みんなは風呂に入るが、ダンナは変わらず横になったまま。
さすがに、これは相当悪いんじゃないかと思い始める。
フロントに言って、近くの病院を教えてもらおうと思ったものの、運転免許を持たない私は、ダンナを病院に連れて行くこともできない。
祝日だし、救急車を呼ぶのも・・と躊躇しているうちに夜中になってしまった。
朝になったらフロントに相談しようと思い寝ることに。
次女はすぐに寝てしまうが、私と長女は寝られる気分ではない。
「どうしよう」と思いながらダンナの様子を見ているだけ。
ノドが腫れてツバが飲み込めないらしく 、溜まるツバを旅館の手ぬぐいでぬぐっている。
そのうち「呼吸がしにくい。かなり腫れてきたんじゃないか。やばいかもしれない」と怖いことを言い始めた。
ノドの腫れのせいなのか、声がハッキリしない。くぐもった声でいつもと全然違う。
とにかく帰らねば・・
そのくぐもった声のまま「帰ろう!」と立ち上がったダンナが布団を片付け始めた。
私も長女も焦って布団を片付けて帰り支度。
寝ていた次女を起こしてフロントへ。
出て来た従業員は、夜中の3時に「急用が出来たので帰る」と告げる客に面食らった様子だったが、無礼を詫びてバタバタと宿を後にした。
外に出たものの、車を運転できるのかという問題に直面。
大丈夫とダンナは言うが、外は真っ暗。街灯もない山の中。道がどこにあるかも見えない。
来た事のない初めての道。夜中の真っ暗な山の中をカーナビの声だけを頼りに進んだ。
他に走っている車など皆無。人が住んでいる気配すらない山道。
苦し気な呼吸をしながらダンナが運転する。
緊張で固まっている長女と、事情が飲み込めない次女は後部座席で毛布にくるまり、私は助手席でハラハラ。
シーンとした車内に聞こえてくるのは、ダンナの苦しそうな息づかいだけ。
ただ祈るしかない。無事に帰れますように。ダンナの状態が悪くなりませんように。
山道を抜け東京湾アクアラインに入った。長い長いトンネル。こんなに長いと感じたことはなかった。泣きたくなるほど。ようやくトンネルを抜け川崎。気持ちが少しラクになった。あと一息。
苦しいだろうに、落ち着いて運転しているように見えるダンナが頼もしい。
やっと家に到着!
ダンナのことが気になりながらも家に着いた安心感で寝てしまった。
急性喉頭蓋炎で緊急入院
2月12日振替休日 何かあれば救急外来に行くしかないと思ったが、 ダンナは飲み込めないツバをぬぐいながら横になっているのみ。そうして一日が終わった。
風邪なんかじゃない
休み明け2月13日 私は小学校の行事に参加しないといけないので外出。
帰宅するとカギがかかっていて、ダンナは出掛けた気配。電話をしても出ないので、あたりをつけて行った病院で発見。でも点滴中なので私は帰宅。しばらくすると大学病院に入院することになったと電話が!
慌てて駆けつけると「危ない状態でしたよ。気管切開の可能性もあります」と医師に言われる。
ダンナは初めの病院で診てもらったものの、風邪のような扱いを受けて納得がいかず、違う病院に行ったのだとか。
そこでノドの奥を診た耳鼻科の医師が「これは大変だ!」と慌てて、大学病院に手続きをとってくれたらしい。
ダンナは10分程度で着くからと、自転車飛ばして大学病院まで来たようだが、普通は救急車で来るぐらいの緊急を要する状態だったらしい。
翌日2月14日
ダンナは、とりあえずの処置をしてもらって薬を飲んだら、おかゆやジュースなどを口に出来るようになったよう。
その後の数日間は、娘たちのお稽古事の送り迎えや学校の役員仕事などでバタバタ。端折って書いてある日記からは、その間にダンナがどのようだったのかは皆目わからないが、瞬く間に5日が過ぎる。
後でダンナが語るには、とにかく重病人扱いだったとのこと。トイレに行くのにも看護師さんが飛んできて車椅子で連れて行ってくれたらしい。
回復、退院へ
2月19日 ノドの奥にある膿みを取ると言うので病院に行くが、なかなか検査にならない。いったん帰宅してからまた病院に行くと、ちょうど終わって出て来たところ。
口の周りが麻酔で痺れていたため、夕飯は遅い時間にしてもらっている。
2月23日 仕事が出来ない日々が続き、いよいよ支障が出て来た様子なので、ノートパソコンを病室に持ち込んだ。
ちょうど看護師さんにダンナが「病院食を普通のご飯にして」と頼んでいるところ。
午後、娘たちを連れて病院に行くと、必死に仕事中。でも長女が「算数がわからない」と宿題を見せると、仕事そっちのけ。嬉しくてたまらない様子で教えている。
夜、ダンナより電話があり、あと3日~4日で退院できるかも!とのこと。
2月24日 また娘たちを連れて病院へ。「そろそろ動かないと」とダンナもベッドを離れてテラスまで来てくれた。義母が肉まんを蒸して持って来てくれたら、ダンナは瞬く間に2つ食べる。
普通に食事ができるようになったのも嬉しい。
2月27日 晴れて退院。家族みんなで過ごせるのが一番いいなぁと笑う。
暗い山道を運転して帰ってきたあの日から半月。無事でいてくれて良かった!
声がこもる症状が出たら耳鼻咽喉科を受診することが大切
後日、ダンナは「たけしの本当は怖い家庭の医学」という番組を以前観て、喉頭蓋炎についての知識を持っていたと話してくれた。
そのおかげで「風邪だ」という診察をされても納得せず、別の医者にかかろうと思ったらしい。
病院に行かずに我慢していた祝日+振替休日の2日間、悪化していたらと思うとゾッとする。
実は5年後、また同じ病気を発症。でも早めの対処のおかげで、入院はしたものの早く治すことが出来た。
ノドの異変は侮ってはいけない。
喉頭蓋とは、気管と食道の分かれ目にある蓋のような部分。食べ物が気管に入らぬよう弁の役目を果たしています。急性喉頭蓋炎は、この喉頭蓋が炎症を起こして大きく腫れ上がる病気のこと。日本では年間1万4000人以上が発病していますが、この病気の怖さはごく普通の風邪が引き起こすことにあります。風邪を引くと、のどが腫れることがよくあります。これはのどの粘膜に取り付いた風邪のウィルスや細菌を目指して白血球が集結、それを排除しようとするために炎症が起こるもの。ところがK・Kさんの場合、風邪の菌が最悪の場所である喉頭蓋に付着。そこで炎症を起こしたものだったのです。しかしその直後、K・Kさんは内科を受診したはず。なぜこの時、急性喉頭蓋炎だと判らなかったのでしょうか?謎を解くカギは、喉頭蓋の位置にありました。実は喉頭蓋は口を開けただけでは見ることが出来ません。急性喉頭蓋炎は、のどの奥まで調べる耳鼻咽喉科でないと発見が難しいのです。そしてこの病の最大の特徴は、発病からわずかな時間で急激に悪化すること。実はこれこそ、急性喉頭蓋炎のワナ。風邪によって炎症が起きても、のどのほかの部分であれば、膿や分泌物は筋肉などを通して吸収。そこだけ極端に腫れることはありません。ところが喉頭蓋は、軟骨と粘膜で出来ています。このため炎症で生じた膿や分泌物は、どこにも吸収されずにたまり続け、喉頭蓋だけを急激に腫れ上がらせてしまうのです。その速さは、まさに桁外れ。なんと発病から半日で死に至ることもあるのです。K・Kさんの場合も、症状は猛烈なスピードで悪化しました。発症から6時間後、巡回の途中で咳に襲われたのは、炎症を起こして腫れ上がった喉頭蓋がのどを刺激したために生じたもの。食べ物が飲み込めなくなったのも、喉頭蓋が腫れ上がり、飲み込むたびに痛みを引き起こしていたためでした。その後、K・Kさんは薬を飲みましたが、これは症状を抑えるだけのもの。実は急性喉頭蓋炎は、抗生物質でなければ抑えられないのです。そして13時間後、ついに声が出にくくなりました。これは巨大化した喉頭蓋が気管を塞ぎかけていたために起きたもの。もはや窒息寸前の状態でした。この時すぐ病院に駆け込んでいれば、最悪の事態は避けられたかも知れません。しかし、K・Kさんは仕事を続けてしまいました。そして発症から17時間後の午前7時、極限まで膨らんだ喉頭蓋が、気管を完全に閉塞。激しい呼吸困難に襲われ、K・Kさんは窒息死したのです。急性喉頭蓋炎は、喫煙習慣のある40代から60代の男性、それも過労などで免疫力が低下した人が罹りやすいと言われています。この病気の最大のポイントは、のどの痛みです。もし風邪でのどが激しく痛んだら、すぐ耳鼻咽喉科に急いでください。一刻を争うかも知れないのです!
ダンナが発症した年にも同じ病気をまた扱っています。
https://www.asahi.co.jp/hospital_old/shinsatsu/071204.html
あなたは今、風邪気味ではありませんか?
のどが痛くは、ありませんか?
もしかして、食べ物が飲み込みにくくはありませんか?
そのまま放っておくと、大変なことになりますよ・・・。
(1)風邪を引いたとき、のどの違和感を見逃さない
(2)免疫力を落とさないよう、喫煙や過度の飲酒を控え、糖尿病などの生活習慣病に注意する
(3)のどに違和感を感じたら耳鼻咽喉科での検診をお勧めします
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