図面職人になっていく私。インテリアコーディネーター資格を得たけれど路線が違うかも

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インテリアの専門学校を出て、新卒で入った家具店 。家具を買いに来たお客様を案内していたのが、突然の異動でインテリアプランニングの部署に。まだ手描きで図面を仕上げていた時代だった。

特注家具の提案には図面がないと

レイアウトだけでは足りない

インテリアのプランニングをするようになった頃の仕事は、お客様からもらった図面を1/50程度の縮尺にし、そこに提案する家具を配置する「レイアウトプラン」だった。

店舗の片隅で仕事をしていたため、実物の家具はそこにある。
レイアウトさえあれば、家具の説明は不要だった。写真を貼り付けたりもなかった。
プランが出来た頃、お客様に来店してもらい、上司がレイアウトを見せて実際の家具を案内しながら説明をした。

部署が大きくなり、店の片隅から本社の専用部屋へと場所が変わった。ただのオフィスである。家具はどこにもない。
お客様のところへは、こちらから出向くカタチになった。プランニングボードには家具の写真や仕様が書き込まれるようになった。

既製家具だけでは足りない

そのうちお客様の要望も「家具セットの配置」などという簡単なものではなくなってきた。
お客様の家に出向くようになると余計に、既製家具だけでは収まらない「もっとこうしたら」という提案も出てくる。
こうしてお客様の家に合うよう工夫した特注家具の提案が加わるようになった。

上司は家具図面が得意で、以前から特注家具でたくさんの実績を上げていた。
その上司だけでは追いつかなくなってきたことと、それまでいた先輩が退職したこともあり、私も本格的に家具図面を描くことになった。

学校ではそこまでちゃんとした家具図面は描いていない。見る機会もほとんどなかった。

上司から学んで家具図面を習得

積み上げてある図面に衝撃

こう言ってはなんだが、上司の机の上は汚かった。整理整頓というものが出来ず、描いた図面が乱雑に置いてある。
図面の間に資料が挟まっていたりするのに、本人は不便を感じないのか、支障をきたす風もなかった。

スタッフが増えてからは、資料を発掘するために、数人で机の上の片付けをすることがあった。
「片付けちゃいますよ!」と言うと「勝手にやって~」という返事。何事にも動じない。イライラには無縁の穏やかな人だった。

そんな上司の机から見つけ出した図面がすごかった!
緻密なのに見やすく、手描きなのに美しい。

図面の独学が始まった

上司のデスクに積み上がっている図面を何枚も、自分の勉強用にコピーさせてもらった。
すごかったのは、線の強弱の付け方、破線の使い方、寸法線の入れ方などの描き方だけではない。現地の壁の歪み等に備えて逃げを作ってあったり、搬入しやすい大きさに分割することを想定して組んであったり、とにかく見れば見るほど勉強になった。
直接上司から指導を受けたことはなかったが、図面そのものが語っていたのだ。

お客様に特注家具の提案をする時、実物がない中で納得してもらうには、わかりやすい必要がある。専門家が見るわけではないのだから。
パースやスケッチを使うこともあったが、たいがいは図面でも理解してくれた。簡単なスケッチすらなくても、お客様を納得させる力のある図面。
こうして私は家具図面の魅力にはまっていった。

自分アピールには家具図面だ!

行きたかった会社に応募

この頃、インテリアコーディネーターの資格を取得した。
今まで憧れていた会社への就職を目論んだが、応募するには課題を提出しないとならなかった。
「自分の理想とする部屋」とかいう題だったと記憶している。

たぶん他の人はパースなどを描いてくるだろう。たくさんのエレメントを貼り付けたキレイなプレゼンボードを提出することだろう。でもみんなと同じではアピール出来ない。
家具図面を描くことにした。

自分が欲しいクローゼット。取り出しやすく、分類しやすい。自分が欲しいデスク。デスク面は広く、コンパクトな収納なのに機能が詰まっている。
そんな家具を全て家具図面として表現し、平面図と立面図を付けた。

採用通知をもらった時は「家具図面の勝利だ」と思ったものである。
もっと色々なツールを使って多彩に表現出来たらもっと良かったし、内容もさらに掘り下げる必要があったと思うが。

自分自身の適正に悩む

どんどん家具図面職人のようになっていく私。
もうインテリアコーディネーターとは路線が違うように思えた。
インテリアコーディネーターとして、華やかな職場で有能な女性たちと肩を並べて働くのが怖い。
応募をしたのにも関わらず、せっかく採用してくれた会社には断りを入れた。

インテリアコーディネーター資格を得たものの、自分はインテリアコーディネーターではないような感覚。その後もずっと違和感を持ちながら、名刺の「インテリアコーディネーター」という文字を眺めるようになるのだった。