ジグゾーパズルをするだけの毎日
義母と同居してみて気づいた。
義母の毎日は静かに同じように過ぎていくだけ。変化というものがない。
自分でも脳に刺激がないのはマズイと思っているらしく、朝から晩まで、ひたすらジグゾーパズルをやっている。
けれど10年以上も同じジグゾーパズル。これは刺激になるのだろうか?
娘たちも私も、色々なパズルを買って義母にプレゼントをしたことがある。
でも義母は、長女が小さい頃に遊んでいた100ピースのパズルを取っ替え引っ替え使うばかり。
変化を好まないのだ。
そんな義母なのだから、家の売却・引っ越しという大々的な変化をさせてしまった私が責められるのも納得。
あまりにも毎日家にしかいない。

毎朝、家の周りの緑豊かな場所を散歩するのと、月に一度、病院に歩いて行くのみ。帰りに薬局と果物屋に寄って少しだけ買い物。それが唯一の変化である。
息子(私にとってはダンナ)が自宅で仕事をしているため、一人にはならない。
食事の用意はすべて息子がする。(私は朝食の用意のみ。義母の夕飯の時間に間に合うようには帰宅できない)
ベランダの家庭菜園の世話と、たまの掃除機掛け。
それ以外は買い物にも行かず、ダイニングの椅子に座ってジグゾーパズルをするか、ベッドで横になるかのみ。
面倒だけど自治会に頼ろう

こんな毎日ではつまらないだろうと、自治会に入る事を勧めた。
老人会や定期的なイベントを開催しているから、近所の仲間に会えるチャンスじゃないか。
義母もそれには賛成してくれて、すでに数回は集まりに参加したらしい。
楽しくない会もあったらしいが、回覧板が回ってくるとよく見ている。
前に住んでいた家は、近所の人が毎日お茶を飲みに来ていたこともあった
もともと人付き合いは嫌いではないのだ。この土地や人に慣れて、少しでも楽しくなってくれれば。
販売員大好き
ヤクルトの販売員が家に来るようになった。義母は、こういう人たちと話すのが大好きだ。
普段は息子しか話し相手がいないので、話し相手に飢えているのだろう。
ピンポン!と鳴ると飛んで行って「お入りください!」と元気な声で迎え入れる。
私は自分が休みの日に一度遭遇しただけだが、義母の嬉しそうな様子は印象深かった。
毎週金曜日に来てくれるその人は、義母の話をニコニコと相槌を打ちながらずっと聞いてくれる。
それは違う!本当はそうじゃない!

ある金曜日、一人暮らしをしている長女が帰ってきていた。
玄関に一番近い自分の部屋にいたらしいが、義母はそれを知らない。
ダンナは出掛けていたので、義母は完全に自分ひとりだけが家にいると思っていたようだ。
玄関先で販売員の女性に長々と自分の身の上話を始めた様子。
東京に広い家を持っていて・・・という話から始まり、急にこんな土地に来る羽目になった。嫁がどーのこーので、孫がどーのこーので・・
自分はそんな嫁や孫のせいで泣く泣く家を出た、と話していたらしい。
自分の部屋で耳を澄ませて聞いていた長女は、義母が自分なりの解釈で捻じ曲げて語る「孫の話」に衝撃を受けたらしい。
私のことについては、なんと言っていたかを長女は教えてくれなかったが、私は義母の思い込みの、実際とのズレがショックだった。
全て自分なりの解釈でしかない。本当のことではない。
近所の人も聞かされていたのね

売却した都内の家に回収業者が来ていた日のこと。
「これでこの家ともお別れか」と、空っぽになっていく家をダンナと眺めていたら、近所の噂好きなおばさんが寄ってきた。
「いろいろ聞いたわよー、あなたの家も大変ねー」と言う。
何が?何を知っているの?と訝しかったが、怖くてそれ以上聞けなかった。義母が近所の人たちにあれこれ話をしているのは薄々知っていたから。
販売員なら直接関わることもないので、何を話したって構わない。
変な目で見られたとしたって、それはスルーするしかない。
でも自治会に行ってまで変なことを言わないでねと、祈るような気持ち。
義母と良好な関係を築けない私が悪いのであり、私が改善すればいいこと。
なのに、さらに義母に寄り付かなくなる私。あー・・まともな人間になるって無理。
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