家を取られ、知らない土地に住む羽目に!姥捨て山だと嘆く義母

都内の義母の家を売ってしまった。
義母は同居を待ち望んでいたが、自分の家に息子家族が入るカタチでの同居だと思っていたはずである。
だがどう考えても、みんなで住める家ではなかった。

賃貸マンションを借りて、そこでみんな揃って住もうと決めた。
そのためには住み慣れた家を出なきゃいけない。
それを義母は理解したと思っていた。

でも、なんだか不思議な日々が続いたのであった。

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家を出る覚悟は出来たかな?

家の売却を考え始めた頃、私はちゃんと義母と向き合って話すことが出来なかった。
住み慣れた家を離れるのは辛いだろう。気後れしてしまって自分からは言い出しにくい。
ダンナから伝えてもらった。
家を売ろうと思っていること。別の場所に賃貸マンションを借りてみんなで住むつもりなこと。
「なんとかわかってくれたよ」というダンナの言葉に一安心した。

新居イメージ

義母の家を片付け始めた時、どれを捨てていいかを尋ねれば、ちゃんと答えてくれた。
親戚に連絡を入れて、タンスをもらってくれないかと言ったのも義母だった。
「あげちゃうのは惜しいけど、持っていてもしょうがない」と言いながら、着物や帯を一つ一つ広げて見ていた。
自分が生きているうちに着物を処分するなんて考えてもいなかっただろう。
気の毒なことをしてしまったと心が痛んだ。

環境が変わるのは不安だよね

どんどん荷物が片付けられ、ゴミが1階の入り口に積まれている頃、新居の下見に来てもらった。
「ここに住むんだよ」と言うと、「私の部屋はどこになるの?」と義母。
一番日当たりが良く、家庭菜園ができるベランダに出られる部屋を義母の部屋にするつもりでいた。

だが「年寄りはトイレが近いから、トイレに近い部屋がいい」と言う。
そこは部屋が狭い。ベッドや仏壇やダンス類が入らない。
そこは次女の部屋だと言うと、渋々と予定通りの部屋でいいと了解してくれた。

新居イメージ

引っ越しの前日に義母の家に行くと、普段は何でも前もって準備しておく義母が、珍しく何もしていなかった。
私が片付け始めると、ようやくわかった風で、一箱だけ自分でダンボールに詰めた。

腕の筋肉が落ちて、重いものが持てない義母に荷造りをさせるつもりはない。
だから何もしていないのは構わない。
ただ、なんだか変。
少し前までの テキパキ動いていた義母とは全然違う。
老いて動きが鈍くなっただけでなく、変化への適応がしにくいのだろうか。

そして引っ越し

新居にみんな揃って住み始めた。
荷物の量が多すぎて、収納場所が定まらない。
後から発掘した物を奥に入れるために、既に収納してあった物を取り出したり。

義母はそんな私のそばに来ては、こんなものもあったね〜、懐かしいね〜と、自分が元の家の戸棚の奥にしまい込んでいた食器や調理器具を眺めた。
気持ちは複雑だろうが、それでも納得して、新生活を受け入れようとしていると思っていた。

新居イメージ

新生活のストレスかな?

引っ越しハガキがみんなに届いた頃、義母に親戚から電話が入った。
新居での生活はどうかと聞かれている様子。
義母の答えが意外だった。
「急に連れて来られたから、何が何だかわからなくて」
「いつのまにか家を出なきゃいけなくなっちゃって。
何も聞かされていなかったんだよ」
「年寄りは若い人の言うことに従わなきゃならないからね」

あれあれ?

愚痴りたい気持ちはよくわかる。
住み慣れた家が無くなったショックもあるだろう。
でもそれはないよー。
完全に私たちが悪者じゃん。

ダンナとひとしきり嘆いたが諦めた。
それほど付き合いはない親戚の印象が悪くなったって、どうってことはない。

電話

姥捨て山?

義母はいつもダイニングテーブルの隅っこにジグゾーパズルを広げて、そればかりしている。
話し相手が欲しいかと、仕事が休みの日はお茶とお菓子を用意してそばで過ごしたりした。
でも話す内容は毎回同じ。病気で入院した時のこと、旅行した時のこと。
大げさに言えば100回ぐらい聞いている。
ただ引っ越してからは、それに一つ加わった。

お茶

「昔ね、母親がよく姥捨て山の話をしていたんだよ。
小さかったからよくわからなかったんだけど、今になれば、これが姥捨て山かとわかる。
自分は姥捨て山に捨てられたんだね。」

今の土地、今住んでいる状況を言っているのはすぐわかった。
でもどう答えたらいいのかわからない。
「あー」と言うのが精いっぱい。
義母が今の状況を納得できていないのだけはハッキリわかる。
引っ越し・売却を決めた時点で反対していてくれたら、どこかで折り合いをつけることもできたのかもしれないが。

老人

ダンナには、そういう話はしないらしい。
私が話相手になっている時は必ず姥捨て山の話をする。
私に抗議をしたいのだと理解した。顔や口調は穏やかなのだが。
何も自分からは行動しないダンナの性格をわかっている義母にしてみれば、すべてを仕組んだのは嫁の私、ということになる。それは仕方がない。その通りだし。

そっか。悪者かぁ。

責められるのは覚悟の上で決断したことだが気持ちが晴れず、義母の相手をすることはなくなった。
台所仕事を一緒にしている時にも姥捨て山の話をしようとする義母を避けたい気持ちにもなってきた。

慣れて前向きになるのを待つしかない

今は当たらず触らず、少し距離をとった同居が続いている。
ちゃんと向き合わなきゃとは思うが、もう少し時間がかかるだろう。私は人間が出来ていないのだ。

納得いかないまま家の売却・引っ越しに従った義母。
それに気づかず、強引に事を進めた嫁。
溝を埋めるのは私次第なのは十分わかってはいるのだが・・・。
我慢して付いてきてくれた義母が、この土地で少しでも楽しみを見出して前向きになってくれたらいいと切に思う。

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