もしサバイバル生活をしたとして、一番不満に思うのは食事の乏しさなのだろうか?

大学生の娘たちがアルバイトに精を出しているのを見ていると、遠い昔、自分も数多くのバイトをしたのを思い出す。時給いくらだったのだろう?安い時給で頑張っていたんだろうなと思う。

長期の観光地アルバイトで軽井沢へ

20歳の頃、夏休みに軽井沢のホテルで長期アルバイトをしたことがある。
友人と2人、現地に着くと、まずは自分たちが寝泊まりをする宿泊施設を教えられた。山を切り開いて建てた簡易的なログハウス風の建物。
入ると土間のようになっていて、壁の一方には横一列に流しが備え付けられており、洗面や食器洗いに使えるようになっていた。土間の奥には数段の階段。

宿泊室につながる、その階段には大きく羽を広げた蛾が何匹もベタッとなっていた。生きていたのか死んでいたのか・・
すごい数の蛾が私の行く手を阻んで広がっている光景は、何十年もたった今でも色鮮やかに蘇る。

帰りたい・・!

帰る訳にはいかない。数段ある階段を大きくまたいで、かろうじて蛾がいない場所に足を置き、宿泊室にたどり着く。
二段ベッドがいくつも並んでいた。夏休みの早い時期にバイトに来る人、途中から来る人、後半になって来る人、それぞれが順繰りに使っている様子だった。
確か途中からの参加で、3週間程度の滞在期間だったと記憶している。

仕事はコロコロ変わった。フロントの手伝いをしたこともあったし、布団の上げ下ろしに明け暮れた日もあった。食堂で料理を運んで行ったり来たりしたこともあれば、コテージを一つ一つ回って掃除をしたこともあった。

一緒に仕事をするのは同年代の大学生や専門学校生。すぐに仲良くなった。
休みが合えば一緒に近くの湖までサイクリングをしたり、おしゃれなカフェに行ったりした。
アルバイト期間が終わって帰って行く人、次にやって来る人・・
みんな楽しい仲間だった。宿泊施設の土間に座り込んで歯磨きをしながら、恋愛問題の相談に乗ったり。

楽しいことばかりのような毎日だったが、唯一楽しくないものがあった。
それは食事。
ご飯は炊いてあったが、それだけ。生卵はあったかもしれない。
お味噌汁があったかどうかは覚えていない。
毎日、ロクなものを食べていなかった記憶だけが残っている。

長く過ごしているうちに、蛾でもヘビでも全然平気になる。
浅間山を遠くに見ながらバイト仲間と宿泊施設に戻る道、暗い中を動物が横切っても動じない。たくましくなっていた。

こうして長いアルバイトの期間も終わった。
一緒に参加した友人と蓼科方面に向かい、そこで千葉から来た友人2人と合流。
4人で遊園地などで楽しんだ後、ペンションに泊まった。
夕食は豪華だった。出来たての料理がテーブルいっぱいに並んでいる。

「食べよう!」
ワイワイしながら食べ始めたものの、なぜか涙が出てくる。
美味しいのと、ホッとしたような気持ちで涙が止まらない。
楽しいバイト生活だったのに、そこで過ごしているうちに荒んでしまったような気さえしてくる。

見ると、一緒に働いていた友人も泣いていた。

千葉の友人は言った。
「どうしたの?ひどい仕打ちでも受けてた?」

違う。違うけど。

食事は大事なんだとすごく実感。

たくましくなったと思っていたが、温室育ちのまま何も変わらなかったのだろうか。
ようやく文化的な生活ができる気分で、その後の旅行日程を過ごしたことを覚えている。

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